2025年12月から2026年1月にかけて、日本に2ヶ月間滞在したと噂されているアーティスト、The Weeknd(ザ・ウィークエンド)。
彼のInstagramで唯一フォローされている謎のアカウント@gene.hackerman。当初は日本の風景がアップされていたが、ついに本人の写真が投稿されたことで、ファンの間では彼自身のサブアカウントだと確信に変わった。そこに並ぶのは、ありきたりな観光地だけじゃない。日本の日常やディープなサブカルチャーが溢れていて、彼が今の「リアルな日本」を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。
この記事では、彼のサブアカウント @gene.hackerman の投稿から、今の日本のカルチャートレンドを深掘りしていく。
現代アートの巨匠・空山基との再会
まず外せないのが、初期の投稿から度々登場する「空山基(そらやま はじめ)」だ。彼は、渋谷のコンテンポラリーアートギャラリー「NANZUKA」を代表するアーティスト。
NANZUKAは2005年に南塚真史が設立した、ポップカルチャーと現代美術を融合させる実験的な場所。近年惜しまれつつ亡くなった巨匠・田名網敬一も所属している。
空山といえば、ロボットをモチーフにした作品が有名だ。The Weekndとは2021年の「Echoes of Silence」10周年記念プロジェクトでコラボしており、2023年のツアー「After Hours Til Dawn Tour」では、ステージ中央に鎮座した全長7メートルの巨大ロボット「Sexy Robot」が360度回転する圧巻の演出が話題になった。
サブアカウントの最初の投稿では、彼が空山のスタジオを訪れ、作品が生まれる瞬間を動画で捉えている。
これを見て「また何か新しいコラボがあるのでは?」と期待せずにはいられない。
キャラクター産業の最前線をゆく
続いては、アニメ・漫画・ゲーム関連だ。 今月、東京にオープンしたばかりのポケモンテーマパーク「ポケパーク カントー」に、彼は早くも姿を現した。
https://www.pokepark-kanto.co.jp/ppark/top/index
ここは「よみうりランド」の跡地に建てられた世界初のポケモンテーマパーク。広大な公園のあちこちに潜むポケモンたちのフィギュアと写真を撮ったり、屋内でショーを楽しんだりできる。
さらに、USJの「マリオパーク(スーパー・ニンテンドー・ワールド)」にも訪問。日本のキャラクター産業がいかに力強く、進化し続けているかを象徴するようなチョイスだ。
このように、日本のキャラクターに関するテーマパークは近年続々とオープンし、日本のキャラクター産業の強さを目の当たりすることができる。
伝説的アニメから最新作まで、展示会をハシゴ
日本各地で開催されるアニメ・漫画の展覧会。ここでも彼のアンテナは鋭い。
まずは、カルト的な人気を誇る『エヴァンゲリオン』。30周年を記念したこの展示では、貴重な原画や巨大フィギュアがファンを魅了した。
そして、サイバーパンクの金字塔『攻殻機動隊(Ghost in the Shell)』。
4月までtokyo nodeギャラリーでやっている本展示でも、様々な原画が飾られている。
https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/
TOKYO NODEで開催中の展示を訪れただけでなく、制作元の講談社まで足を運び、超レアな原画を間近で鑑賞する様子も投稿されている。
個人的に驚いたのは、映画化もされた漫画『ルックバック』の展示。あの『チェンソーマン』の藤本タツキによる読切作品だが、アニメ版の押山清高監督からサインをもらっている姿はなんとも微笑ましかった。ちなみにこの作品、2028年にカンヌでパルムドールを受賞した是枝裕和監督による実写版の制作も進んでいて、今後の展開が楽しみでならない。
ゲームの聖地巡礼とレトロへの眼差し
ゲームに関しても熱心だ。SEGAやCAPCOMといった名だたるゲーム会社を訪れ、伝説的なデザイナーたちと対面する姿がストーリーに流れた。
SEGAでの写真のほか、ファミコンやゲームボーイ、アーケードゲームの実機を購入した様子も。日本人にとっては「中古ショップで見かける古いもの」でも、彼の目を通すと、強烈なノスタルジーを放つ新たな価値を持ったアイテムとして映る。
日本の音楽シーンとのリンク
滞在中に日本のアーティストとも交流しているようだ。
まずは、かつて彼の日本公演でも共演した米津玄師。ジブリ最新作『君たちはどう生きるか』の主題歌も担当した、日本を代表するトップアーティストだ。
そして、今や世界を席巻しているCreepy Nuts。R-指定のラップとDJ松永の技術が融合した彼らの楽曲は、2024年にアニメ主題歌として特大ヒットを記録した。
日本ではアニメ主題歌がヒットチャートの常連になることが多く、アニメとのタイアップはスターへの登竜門でもある。
その一方で、ポップミュージックの枠を超えて愛され続けるアーティストがいる。2010年に急逝したNujabes(ヌジャベス)だ。彼の作るジャズとヒップホップを融合させたサウンドは、アニメ『サムライチャンプルー』を通じて世界中に広まった。
The Weekndは『サムライチャンプルー』の作者と写真を撮り、Nujabesのレコードを大量に買い込む様子を投稿している。時代を超えて愛される日本の「ローファイ」の源流を辿っているようだ。
いい意味でアニメらしくないジャズの要素も組み合わせた曲で、私もとても好きだ。
The weekendsはアニメsamurai champlooの作者と撮影した写真やnujabesのレコードを大量買いした写真を投稿していた。
最後に:「ちいかわ」を愛でるギャップ
語り尽くせないほど濃い滞在記だが、最後にこれを紹介したい。 今、日本で社会現象となっているキャラクター「ちいかわ」。BLACKPINKのジェニーも原宿のキデイランドを訪れて話題になったが、The Weekndもちいかわの帽子をかぶって満面の笑みを浮かべている。
世界的なスターが、日本の「カワイイ」の象徴を楽しんでいる姿は、見ていて本当に嬉しい。
The Weekndのサブアカウントから見えてきた、2026年現在のリアルな日本カルチャー。これから日本を旅する人は、ぜひ彼のサブアカウントを参考にしてみてほしい。